西暦2000年記念音楽劇 あの丘を越えて Opera Theater for Third Millennium CROSSING THE BARRIER 日時 11月19日(金)/20日(土) 西暦二千年のある都市。もはや荒城と化していた王宮。 その復元のためかり出された人々は、愛するものに別れを告げ、故郷をあとにした…。
日本とコリア(朝鮮半島)の名曲に乗せて繰り広げる愛と感動のドラマ。 オペラと現代演劇の華麗なる出会い 演出 金盾進(金守珍=キム・スジン) 音楽構成 田月仙(チョン・ウォルソン) 作 岩切章二 出演 演奏 舞台監督 村松明彦+ZEST デザイン 秋山伸 写真 李世午 裴昭 プロデュース 木村鷹秀 助成 東京都歴史文化財団 後援 駐日韓国大使館・文化院 主催 NEAR MUSIC FESTIVAL実行委員会 1999年 11月19日(金) 午後7時開演
解説 「あの丘を越えて」はいま韓国ソウルで進められている王宮・景福宮(キョンボックン)の復元を題材にした音楽劇(オペラ)である。全編には日本とコリアの名曲が流れている。 景福宮は約600年前に李朝の王宮として創建された。しかし豊臣秀吉の朝鮮出兵に伴って焼失し、その後300年もの間放置された。李朝末期になって復元が始まり全国から多くの人々がかり出された。コリア民謡でもっとも有名な「アリラン」はこの時故郷を離れた人々が女房恋しさを歌った「我離娘」がルーツだという説もある。ようやく復元された景福宮だが、日本の植民地支配によりその多くが取り壊され、朝鮮総督府の庁舎が建てられた。このときに韓国の建築には欠かすことのできない「風水」が狂ってしまったともいわれる。戦後50年目の1995年、旧朝鮮総督府庁舎は撤去され、再び600年前の王宮の復元が始まった。そして全国から大勢の職人が動員されている。 この舞台は日本とコリアの歴史の流れに翻弄された景福宮をモチーフとしながらも、時空を越え、新しい音楽劇に創作したものだ。「さくら」と「アリラン」、「荒城の月」と「鳳仙花」など日本とコリアの名曲が融合しながら失われた時を取り戻す旅と人間のドラマが形成されていく。同じ東洋の五音階「宮・商・角・徴・羽」をルーツとしながらも似て非なる音楽世界と精神世界を展開した日本とコリア。この舞台ではそのアウラを伝えるためにジャンルを越え日韓の個性的な顔ぶれが動員された。 韓国で最も注目されている音楽集団「ソウルフィルハーモニックオペラコーラス(ソウル特別市)」。その自由な歌声はオペラから古典パンソリまで様々な分野の舞台で高い評価を得ている。日本からは鬼才・金盾進率いる「新宿梁山泊」。テントから様々な大小劇場までのあらゆる空間を照明と音響を駆使してビジュアルに見せる演出には定評がある。演奏はこの公演のため特別に編成された「NEARミュージックアンサンブル」。ソリストは二期会会員で日韓の音楽界をリードする田月仙(チョン・ウォルソン)と日本歌曲の名手・田代和久。そして舞踊に大川妙子。 「あの丘を越えて」は日本とコリア、音楽(オペラ)と演劇という二つの位相が複雑に交錯するドラマだ。折しも韓国ではいま日本文化の解禁が進んでいる。この日韓共同創作音楽劇が21世紀のNEAR(North East Asia Region=北東アジア)に一石を投じればいい。
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